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 時計の短針が、6を指した。
午後6時。第3回目の放送の時刻となる。

“はいはーい、午後6時になりました。それでは3回目の放送を始めたいと思います”

門並の声が聞こえ、徳永泰志(31番)は目線を上げた。

 今、彼は共に行動している時津 優(30番)の提案により、より茂みが深いにもかかわらず、辺りが見渡しや すい場所にいた。これは偶然の産物なのだろうか、大きな葉っぱが雨除けにもなっていて、直接水を被ることも 無かった。

“では最初に、この6時間で死んだ仲間を発表しますね。えーと、どれどれ? まずは8番! 玉吉海人君!  彼は禁止エリアに引っ掛かったのね。崖の近くは目標物が特に無いから、位置の間違いに注意しましょう!”

やっぱりいた……泰志は玉吉の名簿の横にチェックを入れた。
崖……というと、B=4のことなのだろうか?

“続いて11番 長明晴喜君、13番 塚本大作君、15番 九十九大輔君、20番 積井尚人君”

続々と呼ばれていくクラスメイト達。その顔を思い浮かべながら、泰志はチェックを記した。

“25番 照屋宗治君、27番 土井佑作君、29番 堂本文男君、34番 戸塚正太郎君、以上9人です。結構 ペースが落ちませんね。今から12時間後までにはもう試合終了かな? 先生期待しているからね♪”

「残り13人……か」

「もう1/3以下になっちまったのかよ……」

“じゃ、続いて禁止エリアの発表でーす! 7時からE=5、9時からI=6、11時からB=7が禁止エリアになり ますから、それまでにちゃんと離れること。こんな死に様じゃあ犬死だからねぇ? じゃ、頑張ってね♪”

 ブツッと放送が切れる。

 全てをチェックした後に、何か愚痴をこぼそうとした瞬間、叫び声が聞こえた。

「ヮァァァッ!!」

それは微かなものだったが、確かにはっきりと聞き取れた。
2人同時に銃の撃鉄を起こす。

近くの茂みが激しく揺れる。飛び出てきた人物はヌンチャクを振り回して、後ろを向いた。

「この人殺しが!」

「違う! 長明が襲ってきただけなんだ! 正当防衛なんだ!」

それとは別に、少し高めの声が聞こえてきた。どうもその人物は、銃を握っているように見えた。
同様に、やっと叫んだ男が誰かわかった。豊田敬一(40番)だった。彼はその男に向って今度は逆に襲い掛か った。


 パァン!


銃声がして、豊田の体が吹っ飛ぶ。
ベレッタM92Fを撃った男、津崎 修(16番)は、がたがた震えながら物言わぬ死体に呟いた。

「これも、正当防衛だよな……。お前が襲ってきたから……俺は悪くないよな……!」

初めて、自分以外の誰かが人を殺した場面を見て、泰志は、自分のしてきた事を後悔した。


 津崎と、目が合った。



  40番 豊田 敬一  死亡



【残り12人】





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