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徳永泰志(31番)は、ふと目を覚ました。
そして、すぐ隣に時津 優(30番)が横になっているのを見て、慌てて起きた。
「な……何やってんだよ?! 俺……眠ってた?!」
突然声が聞こえたので驚いたのだろう。少し飛び離れたが、時津は静かに泰志の隣に座った。
近くにはデイパックが2つ転がっていた。
「お前……なんだよ、いきなり。放送聞いた途端気絶するんだからさ……、正直俺の方が驚くって」
と、ぐうぅっ、と間抜けな音が聞こえた。泰志の腹が音源だった。
時津は軽く笑うと、恐らく泰志の物であろうデイパックから、白い包み紙と水の入ったペットボトル、そしてポケッ
トから小さな塊を取り出した。同時に、時津のデイパックも見えて、その中に銀色に光るものが見えた。
「食えよ。朝飯も食ってないみたいだし、それにもう昼過ぎ」
そうか、包み紙は支給されたパンだった。だがこの塊は……ラベルには、『チーズ100%』と書いてある。つま
り、これはおそらく時津の私物なのだろう。
「いらないよ。これ、お前のだろう? お前が食えよ」
だが、時津はそれを手で制した。
「いいっていいって♪ 俺まだあるんだし。……ところでさ、俺、お前の武器は知っているんだ。でも俺の武器は
知らないよな?」
「え? あ、うん」
すると時津は、先程見えた銀色の物を取り出した。
「ハイスタンダード22口径2連発デリンジャーっていうんだ。よくわからないけれども、威力だけは凄いらしいよ」
なんだ、自分と同じ銃器だったのかと、少し安心した。
パンの味は最悪だったが、チーズと一緒に食べると、少しだけ、マシになった。
全部食べ終わると、泰志は時津に礼を言って、水を一口飲んだ。
ぱん!
ぱらららら……ぱらら、ぱららら……
その時、聴き慣れた銃声が聞こえた。遠くではない。案外近くでしたような気がした(これは寺井晴行(24番)
が戸塚正太郎(34番)を仕留めた時の銃声だった)。正体がわからないのは不安だった。
とにかく、こいつはやる気だ。今この瞬間、また誰かが死んでいるのかもしれない、と。
「移動した方がよさそうだな、どうも……ここは見通しが悪い」
「そうか?」
「これでも幼い頃キャンプ中に迷子になったことがあってね、森の中は結構慣れているんだ。移動しよう、今の
奴、多分容赦なくやってくるから」
「堤達かな?」
「わからない、でも、先入観は持たないほうがいい」
2人はそのまま森の奥へ歩いていった。直後、半径50m以内に探知機を奪った寺井晴行がとおったのだが、
幸い探知されることは無かった。
まさか、わざと逃したなんてこと、あるか?
【残り18人】
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