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 最初は、殺すつもりなんて無かった。
 でもさ、殺したっていいじゃん。いつか死ぬんだから。


 思い切りサーベルを振るった。迷いなんて無かった。
微妙に弧を描いているサーベルは綺麗な曲線を描いて、綺麗にかつ優雅に積井の右腕を切断した。

「ぎ……ぎゃぁぁっっ!!」

積井が耳障りな奇声をあげる。五月蝿いな。
積井の右腕……二の腕から先が消滅していた。



 探し物は、貴方の体の下に転がっていますよ?

 ほら、右腕。



「よ……よくもやりやがったな?!」

慌てふためいた照屋が何かを両手で投げつけてきた。その青い物は、いとも簡単に避けることが出来た。そし て、ドスン、という音。ちらっと振り向くと、何のギャグなのかダンベル(5kg)が転がっていた。



 ご苦労様、重たかったでしょう?

 ほら、今楽にしてやるから。



再びサーベルが弧を描く。綺麗で優雅で……言い表しようの無い刃先が、だがそれは空を斬った。

「う……うわぁぁああっっ!!」

そう叫ぶと、照屋が逃げようとして、そして積井の右腕を踏んで無様にこけた。

「だぁぁああっっ?! ぎゃあ!」

慌てて右腕を掴んでしまったらしく、こちらに投げてきた。だが避けるのも面倒なので、サーベルを下から上まで 斬り上げる。ドッ、という音と共に、積井の右腕が2つに分断された。顔に血が少し跳ぶ。

「助けてぇぇっっ! いやだぁっっ!!」

そう言い残すと、照屋は外へ駆け出していった。



 楽しい。

 楽シイ……タノシインダヨ! ヒトヲキルノガ!



「ぎゃははははっっっ!!!」

下を見た。右腕を斬られて血溜まりと化しているその場所に、積井はうめいていた。
そんな積井を尻目に、彼は2人の持ってきたデイパックを見た。照屋に支給された武器がダンベルってことはわ かっている。さて、積井の物はなんだろな。
細長い物が手に触れる。引っ張り出した。そして笑った。



 なんだよ? ロープって、くひひ!

 おめぇら両方ともはずれ武器じゃねぇかよ!



「た……たしゅけ……」

積井が手を差し伸べている。
彼は、その手にサーベルを突き刺した。再び絶叫が聴こえる。楽しすぎて、涙が出てくるよ。

「そろそろ、死ーね♪」

そしてそのままサーベルを引っこ抜く。血が噴出す。それから、サーベルを頭まで振りかぶって、首筋めがけて 一直線に振り落とした。


 ズギュッ!


嫌な音がした後、積井の頭部が落ちた。思い切り血が噴出して、何度かピクピク動いた後、やがて動かなくな った。転がった首は、面白いことに2つの右腕の間で支えられている。

「ホント、可笑しいよ」

その時、ドアが再び開いた。



  20番 積井 尚人  死亡



【残り16人】




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