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 一方、灯台に辿り着いた竹崎正則(4番)、種村 宏(7番)、そして天道 剛(26番)は誰もいないことを確認 し、やっと久々に落ち着くことになった。

「ふわぁ……緊張の連続だったなぁ……大分疲れた……ちょっと寝たい気分」

天道がぼやく。
先頭を歩いていた彼にとってそれは、まぁ鶴岡雅史(21番)の件もあったし、一番疲れているはずだった。
無造作に試作銃回転六口径1028式を机の上に投げ出して、椅子の上に座った。ふかふかだったらしく、その 上をころころ転がっている。

「まだ寝るなよ、もうそろそろ深夜の放送が始まるんだから」

一応そう説明を付け加えておいた。
時計を見ると、もう間もなく日付が変わる時刻だった。

“夜分お騒がせしてすみません。深夜ですけれど放送を始めます、寝てる人は起きてね”

今さら気がついたのだが、どうもこの門並という女は律儀らしい。変なところでしっかりしているんだから……。
隣にいた2人も、口惜しいことに慣れた手つきで地図を取り出して、ペンを構えた。

「うちらの他に、まだどのくらい生き残っているかなぁ……」

それが心配だ。

 前回の放送では残り13人となっていた。だが、つい先程すぐそばで聴こえた銃声や、何度も響いているマシ ンガンの音を聞いていると、どうも死人が出ているような気がしてならなかった。
自分達は鶴岡雅史の件以来、誰とも遭遇していないのだ。なのにゲームは確実に進行していっている。運がい いのか悪いのかはよくわからなかったのだけれども。

“じゃ、まず深夜までに死んだ生徒を発表します。まずは5番 立川朋彦君”

やっぱり、というべきかどうかは知らないが、死人は出ていた。
早速名簿の上に黒く線を引く。

“次は16番 津崎 修君”

「津崎?!」

呼ばれてはならない名前。分校の前で、誰も信じるかと言い残して走り去ってしまった津崎。
彼が何処で何をしていたかは知らないが、やはり死んでしまったという事実は信じがたかった。
彼が大量に5人もの生徒を殺害していたとも知らずに。

“それから19番 綱嶋裕太君”

綱嶋……もか?

正則にとって、それも信じがたき事だった。綱嶋裕太と堤洋平の2人は、どんなことがあろうと生き残っているよ うな気がしてならなかったからである。
勿論、すぐ近くに堤洋平がいるという事実も、この時この灯台の中の3人には知る由も無かった。

“それから30番 時津 優君、37番 飛田信行君、40番 豊田敬一君。以上6名”

飛田も、死んだのか? あの怖そうな……たしか反政府組織に入っていたとかいう、あの飛田も……!
ショックが大きかった。強豪の奴等を倒した奴がいるのだ。そいつに、自分達は勝てるのか……?

“大分少なくなりましたね。残り7人ですか……先生期待してますからね。頑張って、生き残ってくださいね。そ れでは、禁止エリアを発表します。1時からG=4、3時からA=9、5時からH=7ですから、灯台にいる人は注 意してください”

「くそっ! 位置をばらすんじゃねぇっての!」

天道が再びぼやく。だが、確かにそうだ。のんびり寝てもいられない。

“では、また6時間後に私の声が聴けるといいですね。ゲーム開始からまだ24時間経ってませんから”

最後に変な言葉を流して、放送は切れた。
そして、灯台の悪夢が始まるまで、残り時間はあと2時間でもあった。



【残り7人】





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