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“はーい、午前6時になりました!”
エリアH=3、海沿いに建っている小さな小屋に、津崎 修(16番)は隠れていた。彼は分校の前で竹崎正則
(4番)から逃れてきて、丁度目に付いたこの小屋に駆け込んでいたのだった。
“では分校で私が説明した通り、今からこの時間までに死んだクラスメイトを発表しますね。えーと、地図には一
緒にクラス名簿も印刷してあるから、ちゃんとチェックしておいてね!”
地図を出したときに、クラス名簿があることは知っていたが、なるほど、こういう時に使うものなのかと、何故か
感心した。津崎は急いでペンを取り出すと、地図を床において構えた。
“まずは1番 大河幸弘君。続いて10番 筑後高志君、12番 千代崎元道君……”
次々と死亡した生徒の名前の上に線を書き込んでいったが、ふと恐ろしいことに気がついた。
死んでる……!
まだ1人目が出発してから1時間と少ししか経っていないのに、こんなに死んでる……!
“14番 月島厚志君、18番 筒山光次郎君。えーと……23番 手西俊介君、35番 外都川仁君、38番 富
岡欣治君は出発前に死んでいたよね……”
そのおぞましいほどの数に、津崎は頭がおかしくなりそうだった。
その3人を除けば、既に出発してから5人が……。
“あ、まだいた。39番 友永 武君、41番 寅山 寿君。以上で……ん? あ、今1人死亡通知ですね。33番
戸田鉄平君。以上……かな? はい、以上11人です!”
なんて数だ……。
そうだ……それだけ数がいるのなら、その数だけやる気になっている奴がいるのだ。
“大変いいペースですねぇ。私嬉しくなってきちゃった。えーとね……戸田君は、今禁止エリアに引っかかりまし
た。どうやら身を拘束されて動けなかったみたいですね。みなさん、そういう戦法もありますからね!”
拘束された?
そんな……、絶対にやる気になっている奴がいるのか。
現にほら、何回も銃声がしたじゃないか。
“ではこれから禁止エリアを発表しますね。2時間ごとに1つずつ増えていきますから、きちんとメモして、戸田
君のようにならないようにしましょう。ではまず午前7時からC=2。7時までにはC=2を出る事ね。わかっ
た?”
C=2を見ると、島の北西、海岸沿いになっていた。
“続いて9時から、D=8です”
D=8は、港を含む集落の大半が含まれていた。
“最後に午前11時から、E=7が禁止エリアになります。ちゃんとメモしたかな?”
E=7は、民家が一つ、そして山道と本道を合流する場所があった。
“それじゃあ、以上です。また6時間後に放送しますから、それまで頑張って戦ってくださいね!”
ブッ! という音と同時に、あたりは静寂に包まれた。
残り31人……31人しかいない……。
そうだよ……みんなやる気になっているんだ……!
自分もいつかは殺されてしまう……!
だけど、自分は死ぬわけにはいない!
絶対に生き残ってみせる!
殺られる前に、殺ってやるんだ!
津崎は支給武器の自動拳銃ベレッタM92Fを構えなおすと、音を立てないように立ち上がった。
途端、すぐ近くで、誰かの叫び声が聞こえた。
【残り31人】
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