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既に教室は凄まじいほどの死臭で満たされていたが、それよりも絶望感の方が勝っていた。
誰も何も言わず、ただ黙って。
もう、逃れる事など出来ないのだ、と。
「では、説明は以上です。なにか、質問はありますか?」
「……はい」
静まり返った教室の中で、1人の生徒が手をあげていた。
友永 武(39番)だった。
「生き残ったら……家に、帰れるんですか?」
その質問にみんなが注目する。
門並が、口を開いた。
「うん、最後の1人になったら、帰れるよ。そっか、友永君家に帰りたいんだ?」
「…………」
「ふぅん……友永君、やる気なんだね?」
その言葉が出た瞬間、一斉に生徒全員が武のほうを見た。
武はそんな自分達を端の方の席からぐるりと見回して、再びうつむいた。
否定はしなかった。
「じゃ、友永君はやる気になったのね。でも用心した方がいいよ.隣の席の人がやる気になっているかもしれな
い」
はっとして、泰志は辺りを見回した。
そして見た。何人かが、自分の方を冷徹な目で見ているのを。
こいつら、疑っているんじゃないか?
とにかくそのことよりも、今はグループで集まらなきゃ駄目だ。目が合った幸弘に、泰志は親指を下に向けて、
口パクで『南』と言った。その行為に幸弘は頷き、同時に隣の寺井も頷いた。
幸弘は門並の目を抜いて筑後と千代崎にも伝えたようだ。
あとは寅山だけど……あいつのことだ。絶対に外で待ってるだろう。
既に門並の声は聞こえなかった。
さて……どうやって脱出すればいいだろうか?
船を奪い取ろうとしても、この首輪を何とかしない限り脱出は不可能に思えた。
まぁ皆で集まれば何とかなるだろう。三人集まれば文殊の知恵。こっちは6人だ。参ったか。
「それでは、これからみなさんに出発してもらいます。最後に一つだけ言いますが、ここ、分校のあるエリアは皆
が出発してから20分後、今4時42分だね……じゃぁ今から2分後に出発するから……う〜んと……おぉ! 午
前6時ジャストにG=3が禁止エリアになります。それだけ頭に入れておいてね」
そう言うと、門並はいつ取り出したのか茶封筒を持っていて、封を切っていた。
「最初に出発する人は既にくじ引きで選んであります。結果がこの中に入っています。ちなみに、最初の人から
順々に出席番号順に出て行ってもらうからね。間隔は2分です」
そうこう言ううちに封を取り外して、中から一枚の紙を取り出していた。
門並は軽くふぅ〜ん……と言うと、大きな声で言った。
「34番 戸塚正太郎君。デイパックを貰って出発してください」
戸塚は一瞬ビクッ! と肩を揺らして、おぼつかない足取りで前へ出て行った。
「じゃあ戸塚君、貴方はやる気?」
「お、俺は……や、やる…気……」
「あーそう! やる気なのね?! みんな覚えておいてねぇ!!」
まだ発言途中だったのに、門並が止めてしまった。
戸塚はそれでも自分が疑われている事が嫌になったのか、一目散に走っていった。
門並は軽く笑って、時計を見て、言った。
「じゃあ次、35番 外都川仁……君は死亡しているから、36番 殿村竜二君。準備しておいてね」
そこまでいって、気がついた。
自分が1番グループで最後に出る。みんな、待ってくれているだろうか?
こうして、かの地獄のゲームは始まった。
AM 4:44 ゲーム開始
【残り39人】
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