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同時に全身に激痛が訪れた。
その聴き慣れたマシンガンの音。洋平は後ろを振り向いた。
「て…らい……!!」
そこには、アラバイダ9ミリ・サブマシンガンを構えた寺井晴行(24番)が、悠々と立っていた。
寺井は洋平ではなく、洋平の周りにあるもの、死体だろう。その数を確認していた。
「残りは3人か……お前を殺せばあとは俺と泰志だけ……だな」
3人? まさか……こいつ、もう棚瀬良介(6番)を……!
不思議と体を動かすのに支障は無かった。全ての弾が致命傷を免れていたのだろう。
「その余裕が貴様の命取りだ!」
まだ傷を負っていない右手の銃を持ち上げて、引き金を絞った。
まさかその手が動くとも思っていなかった寺井の顔に、焦りが見えた。勝利を確信した。
今のうちに走馬灯でも流していろ! すぐにでもお前の頭を打ち抜いてやる!!
ダァン!!
だが引き金を絞ったと思った瞬間、別の銃声が背後から聴こえた。同時に背中にも激痛がほとばしった。
今度こそばかりは、致命傷だった。
「誰だ……?!」
もう自分と寺井と徳永泰志(31番)しかこの島にはいないはずだった。
すると……徳永なのか?
後ろを振り向く。
「竹崎……! 何で、生きて……!」
洋平は信じられなかった。自分は確かに3発腹にぶち込んだ。生きていられるはずが無い。とどめを刺さなくて
も、すぐに死ぬだろうと考えていた竹崎が……何故生きている?!
「余裕が命取りなのはお前だな」
彼の手に握られているのが、天道の支給武器の試作銃回転六口径1028式だとわかった瞬間。
パァン!
単発の銃声。だが今度こそはそれが寺井の放ったコルトガバメントだとはわからずに、そして頭を車で轢かれた
ような衝撃を最期に、堤洋平、バカ兄も最後から3番目に死んだ。
残り3人。
『竹崎、お前は何で生きているんだ』
寺井の言葉。門並増美(担任)も理由がわからずに、何故だろうという気持ちで会話を盗聴していた。
そして銃声が聴こえる。その音から、竹崎が撃ったのだろう。直後、ぱららららら、と音が聴こえて、4番の青い
マークが姿を消した。
誰も寺井に勝てる筈など無いのに。
「男子4番 死亡確認」
『そうか……防弾チョッキだったんだな』
その声を聞いて、やっと理由が分かった。竹崎に支給されたのは防弾チョッキ。だから堤洋平の思ったように腹
部に撃ち込んだだけでは死ななかったのだ。
レポートを書きながら、門並はまた涙腺が緩んできた。
灯台が禁止エリアになるまで、あと30分だった。
男子26番 天道 剛
支給武器:回転六口径1028式
被害者 :なし
加害者 :堤 洋平(男子17番)
死因 :頭部被弾
補足 :民家にて竹崎、種村と合流。その後移動中、悲鳴が聞こえたのでかけつけ、
襲われていた鶴岡を助ける為に団条に発砲するも、逃走され、鶴岡は死亡する。
しばらくして灯台に到着、ゆっくりとしていた矢先に堤に襲撃され、一番最初に
殺された。
男子7番 種村 宏
支給武器:果物ナイフ
被害者 :なし
加害者 :堤 洋平(男子17番)
死因 :腹部被弾
補足 :分校前にて友永の死体を見て発狂、誰だかわからない相手に襲い掛かるが、
それが竹崎と知り失神。その後天道も加わり、灯台に着いたが、堤の襲撃により
天道が殺されたことで最後の一線が切れ、堤に圧し掛かる。だが、一瞬の隙を
突かれ、同様に射殺された。クラス一の長身で、臆病者だった。
男子17番 堤 洋平
支給武器:バルラPK85・リボルバー
被害者 :種村 宏(男子7番) 津崎 修(男子16番) 筒山光次郎(男子18番)
綱嶋裕太(男子19番) 照屋宗治(男子20番)
天道 剛(男子26番) 殿村竜二(男子36番)
加害者 :寺井晴行(男子24番)
死因 :全身被弾
補足 :分校前にて筒山を射殺後、綱嶋と合流。山道にて殿村を射殺、下山して照屋も
射殺する。津崎も射殺するが、その際に傷を負った綱嶋も誤って射殺して
しまった。その後灯台へ奇襲をかけ、天道、種村を殺害したところで、寺井に
襲われる。だが防弾チョッキを着ていた竹崎は死んでおらず、背後から発砲、
致命傷を負ったところで寺井に射殺された。
男子4番 竹崎 正則
支給武器:防弾チョッキ
被害者 :なし
加害者 :寺井晴行(男子24番)
死因 :頭部被弾
補足 :グループのリーダー的存在。種村と合流後、津崎との合流に失敗。筒山が
殺害されるシーンを共に見て、民家にて天道と合流、灯台へと向った。灯台にて
襲撃され被弾するも、防弾チョッキに守られ、堤に致命傷を与えたが、最後には
寺井により射殺された。
4番 竹崎 正則
17番 堤 洋平 死亡
【残り2人】
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